rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月19日 論説「自主、自立、自衛は我が革命の普遍の針路」

 

 標記論説は、最近繰り返し主張している「自力更生」路線を「自主、自立、自衛」という表現に言い換えて、その正当性を主張したものといえる。

 評論は、まず「自主、自立、自衛の道は真理であり、法則であり、科学である。これは、偉大な首領様(金日成)の子孫、偉大な将軍様金正日)の戦士、弟子である我々の根強い不変の信念である」とした上で、その正当性の根拠として次の2点をあげている。

 第一の根拠は、「自主、自立、自衛の道は我が国家と人民の尊厳を守護するための唯一の道である」ことである。その理由として挙げられるのは、「国力強化を外勢に依存して実現しようというのは拙い考えである。・・・国家間の利害関係に基づく『協力』によって一時的な『繁栄』や華麗な『変身』はもたらすことができるが、それによって国の存立を担保することはできない」ことである。

 第二の根拠は、「自主、自立、自衛の道は社会主義強国建設偉業を促進して実現することのできる近道である」ことである。何故かと言うと、「社会主義偉業が勝利的に前進するほどこれに反発する敵対勢力どもの挑戦は一層強まる」ので、「主体的力が準備されていなければ(そのため作られる)険路逆境を切り開いていくことができない。政治軍事的力量と経済技術的、文化的基礎がしっかりと準備されていてこそ社会主義の優越性が全面的に発揮され、社会主義の前進が加速化される」からである。

 なお、以上のような根拠は、従前、「自力更生」路線の正当性を主張するために掲げられてきたものとほぼ同一といえる。

 評論は、以上のように「自主、自立、自衛路線」の正当性を主張した上で、現在進行中の「正面突破戦」を「自主、自立、自衛路線の輝かしい具現である」と位置づける。更に、「我々が自主、自衛、自立の道において瞬間にせよ躊躇したり離脱したりするなら、革命家としての存在価値を失ってしまう」として、同路線への懐疑を警告している。まさに、これらの点こそが評論の最も強調したい点であると考えられる。

 冒頭述べたとおり、同評論は、北朝鮮では金日成金正日時代から定着している「自主、自立、自衛」路線を援用することによって、今日の「自力更生」路線ないし「正面突破戦」の正当性、必然性を主張するとともに、それに疑念を抱くことさえも戒めるものである。年頭に打ち出した「正面突破戦」の正当性を今日に至ってもなおこれほどに繰り返しているということは、その趣旨の徹底がそれだけ難航していることを反映していると考えることができるのではないだろうか。