rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月27日 社説「正面突破戦において党組織の戦闘力を力強く轟かせよう

 

 標題から受ける印象は、「正面突破戦」において党組織が指導的、先鋒的役割を果たすことを求める主張のようだが、実は、それだけでなく、それを契機に党自身をしっかり立て直さなければならない、という主張を含んでいる。当該の部分を中心に紹介したい。

 社説は、まず「正面突破戦」の狙いについて、「外部的には敵対勢力どもの反共和国圧殺策動を粉砕し、内部的には社会主義の本質を固守し、革命陣地、社会主義陣地をくまなく強化しよう」とするものとした上で、後者の課題に関し、「今日、我が革命隊伍には試練を経たことのない新世代が主力をなしている。現実は、我々の革命陣地、社会主義陣地を何時よりも強化することを要求している」と、その重要性を強調する。

 そして、具体的には、「主体朝鮮の絶対兵器である一心団結を保衛し、社会主義制度をしっかりと固守していこうとするなら、党員と勤労者を党の思想と領導に無限に忠実な真の革命戦士として準備させるための事業を中断なく推進しなければならない」として、「党組織の思想教養者的、組織動員者的役割」の重要性を強調している。要するに、党員に対する思想教育及びその行動の指導掌握をしっかり行うことを求めている。

 更に、「正面突破戦は古くて保守的な観点と態度、働きぶりを克服するための闘争を同伴する」として、とりわけ「党政策を勝手に解釈したり議論したりする現象、古いものに固執して前進を妨害するあらゆる否定的現象と強い思想戦を展開しなければならない」と訴えている。

 以上のような主張は、いずれも常套的なものともいえるが、「正面突破戦」のスローガンの下、党内の主力をなす「新世代」及び古いものに固執する「保守」勢力らを対象に、意識改革を強く求めていこうとする指導部(おそらく金正恩自身)の狙いを改めて示すものといえよう。

 また、余談であるが、「主体朝鮮の絶対兵器である一心団結」といった表現は、ここ以外でも最近ときどき見かける。かつての「万能の宝剣」=核兵器を相対化するものと考えるのは、希望的観測ないし深読みのし過ぎであろうか?