rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月30日 評論「科学者たちの見聞を広めてやる事業も創造である」

 

 標記評論は、科学者ではなく、それを指導・支援する立場にある幹部に向けたもので、「すべての幹部は現時期、国の科学技術を飛躍的に発展させる上で科学たちの見聞を広めてやることが重要な政策的要求であるということを肝に銘じ、この事業を責任を持って組織展開していかなければならない」とする。

 そのための方法として挙げられるのは、「まず若い科学者、技術者たちが国際的な展示会、学術討論会のようなところに積極的に出かけ、新たなものをたくさん見ることができるように」することである。

 また「最新科学技術資料を入手し科学研究単位に送ってやるための事業をより強化すると同時に、科学者、技術者たちが先進科学技術を習得することができる条件と時間を充分に保障してやる」ことが求められている。

 もちろん「自力更生」への配慮も忘れられてはおらず、「国の科学技術を発展させる上で、新たに研究開発する事業と他国の先進科学技術を受け入れる事業をうまく配合していくことが極めて重要」とされる。しかし、それは外国からの科学技術導入を制約する趣旨で言われているわけではな。そのことは、続けて、「(幹部は)科学者、技術者たちに1件の現代科学技術発展趨勢資料でも多く知らせてやるために、足がすり減るほど奔走しなければならない」として、「見聞を広める」ことへの尽力の必要性が強調されていることからも明らかであろう。ちなみに、この「~するために足がすり減るほど奔走しなければならない」というのは、とりわけ幹部に対する精神論で頻用される常とう的な表現である。

 以前にも同旨の主張を紹介した記憶があるが、北朝鮮というとどうしても「情報閉鎖」のイメージが強いが(それが完全に間違っているわけではないが)、科学技術などの分野では、前述のとおり、むしろ外部との積極的な交流・接触などが奨励されていることも、事実として認識しておくべきと考える。そうであるからこそ、本日の別項で紹介したとおり、短期日の間に、高性能の新鋭兵器を次々と開発することもできるのであろう。