rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月2日 「宇宙科学技術討論会―2020 開催」(12月3日記)

 

 標記は、2日の「労働新聞」に掲載された朝鮮中央通信の記事で、朝鮮科学技術総連盟中央委員会の主催で標記討論会が開催されたことを報じている(開催期日・場所への言及なし)。

 記事によると、同討論会は、「党と政府の平和的宇宙開発政策を貫徹するための事業において成し遂げた科学技術成果を広く紹介し普及一般化し、宇宙科学技術の発展を積極的に推進する目的で毎年開かれている」ものだそうである。

 今年の討論会では、「人口地球衛星分科、宇宙観測及び基礎科学分科、宇宙材料及び要素分科、応用技術分科に分かれて」、「170与件の論文を審議し等を発表する形式で実施」されたという。

 そして、その中では、「衛星及びその部品の寿命と安全性、衛星の動作正確性を高めることができるようにする成果資料が専門家たちの関心を集めた」としている。

 この記事を敢えて紹介したのは、米国での政権交代時期における北朝鮮の冒険的行動の可能性が注目されている中で(私は、基本的に低いと考えているが)、北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」を行う可能性を指摘しておきたいと思ったからである。仮に、それが成功すれば、党大会を前後した「祝賀イベント」としては、事実上のICBM能力の誇示のみならず、「科学技術」重視路線を印象付ける上でも、非常に効果的なものになる。

 その場合、記事でも言及されているように、北朝鮮は、あくまでも「平和的宇宙開発政策」の一環と主張するであろう。それに対して、国連決議で禁止された「ミサイル技術の利用」として非難することもできようが、中国、ロシアなどがそれに容易に賛同するかは不透明であり、国際社会の対応はなかなか難しいものになるのではないだろうか。