rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月4日 評論「党中央委員会第8期第4回全員会議の大きな実践的意義」

 

 本日の「労働新聞」は、「偉大な我が国家の富強発展と我が人民の福利のためより力強く戦っていこう」との共通題目の下、先の中央委員会全員会議に関連する記事をいくつか掲載しており、標記評論は、その筆頭に掲げられたものである。

 同評論は、今次全員会議の「実践的意義」として、2点を提示している。その一つ目は、「我々の前進を阻害するあい路と難関を打開し二度と繰り返さないようにする上で重要な契機となる」ことである。「我が内部に蔓延してきた誤った思想観点と無責任な事業態度、無能力、旧態依然たる事業方式を正すための昨年の強度の高い闘争の中で我々の主体的力、内的動力は比べようがなく強化された」が、「絶え間なく反省し自責して、前進過程に発露される偏向と経験をその都度克服していくことを体質化、習慣化」する必要があるのであり、「このたびの全員会議は、反省と自責を奨励する全社会的な気風を強固に樹立」した点で「非常に意義が大きい」と主張している。

 ただし、会議に関する報道には、そのような問題を正面から取り上げた記述は、ほとんど認められない。強いて言えば、金正恩の「結論」の中で昨年度の総括に関する最後で「今年の事業においての不足点と重要な教訓、その解決方策が詳細に言及された」とされている部分、あるいは、第5議題の「党中央機関メンバーの2021年度下半年度党組織思想生活状況について」の中で、そうした点が取り上げられたとも考えられるが、それにせよ、それを実践的意義の筆頭に掲げることには違和感がある。

 二番目は、「我々式社会主義の全面的富興、全面的発展を成し遂げていく上で重要な里程標になる」ことである。ここでは、「社会主義建設の全戦線が皆一緒に発展し前進すること、まさにこれが我々の発展観であり、革命の要求」であるなどのかねての主張を改めて繰り返した上で、そのために、「落伍した単位は、欠陥から教訓を求めて奮発し、先行する単位、模範的な単位も、成し遂げた成果から不足点を探し出して覚醒し、皆一緒により高い水準へと発展を志向する」ことを訴えている。

 しかし、2日付けの本ブログで指摘したとおり、「全面的発展」方針などは会議で正面からは取り上げられていないのであり、このような主張もまた会議の実態とは乖離した印象を否めない。

 2日のブログでは、会議を報じた映像と記事との齟齬を指摘したが、以上のような同評論からも、全員会議の実態とそれに関する報道に乖離が存在する可能性をうかがうことができる。それは何故なのか、深く検討する必要及び価値のある問題と考える。