rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年1月24日 政論「百折不屈の精神」

 

 標記政論は、「全国が果敢な突撃戦の気象である」とし、「今日の突撃戦は党決定決死貫徹戦であり、各人間の不屈性は、党決定を貫徹するための実践闘争によって検証される」として、困難・逆境の中でも「党決定貫徹」に向け「不屈」の努力・献身を尽くすよう呼びかけ、諸々の修辞を尽くしている。例えば、「たとえ誰も見ていなくても、いつどこでも、党決定を考え、その貫徹のため純潔な良心と努力を皆捧げ、命までも躊躇なく差し出す、このような真の人間」になることである。

 とは言え、現実に期待していることは、先の党中央委第8期第4回全員会議の決定、すなわち本年度の取り組み課題を各単位において確実に(様々な問題が生じてもそれに屈することなく)実践していくことであろう。

 なお、ここで「党決定」との表現が多用されているが、それは、決して金正恩個人の意思・思想と対置するものとして用いられているわけではないということを指摘しておきたい。両者は、むしろ同義のものとして位置づけられていると考えるべきであろう。そのことは、本政論の最後が、「我が国家の強大性の象徴であられ、我が人民のすべての勝利と栄光の旗幟であられる総秘書同志がいらっしゃるが故に我々は必ず勝つ」との言葉で結ばれていることからもうかがえるところである。

 もちろん、以前の本ブログで指摘したとおり、金正恩が提唱した「3大革命赤旗獲得運動」の拡大方針が全員会議の報道にはほとんど言及されなかったことなどを勘案すると、同人の構想がすべて「党決定」に直接反映されるわけでもないということになる。

 ただし、それに関して、本日の「労働新聞」掲載の「すべての革命陣地を3大革命化し我々式社会主義の新たな発展期を開いていこう 各地で幹部と勤労者の決起集会開催」と題する朝鮮中央通信の記事は、「偉大な金正恩同志の要求に合うよう3大革命赤旗獲得運動をより力強く展開するための市、郡、連合企業所の幹部と勤労者の決起集会が各地で開催された」ことを報じている。同記事中で名前が報じられたのは市、郡、連合企業所は、30余りであるが、おそらく全国のほとんどの市、郡、連合企業所において同種の集会が開催された(あるいは今後開催される)と考えられる。

 やはり金正恩の意向は、軽重はあれど、それなりに実践に移されるとみるべきなのかもしれない。金正恩と「党」の関係は、渾然一体とも複雑微妙とも言うべき問題であろう。少なくとも単純な二分法ないし二項対立的発想では理解しがたいところがあることは間違いないといえよう。