rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月22日 北朝鮮による核実験実施の確率(23日修正版)

 昨日掲載の本原稿は、聯合通信の記事内容を一部誤読していたので、下記のとおり修正します。

 

 韓国聯合通信の報道によると、5月21日、ソウル大学国家未来戦略院が発表した報告書は、北朝鮮が第7回目の核実験(又はそれに準じる高強度武力挑発)を実施する可能性について、年内は20%、来年ないし再来年まで含めると50%と推測しているという(数字は研究に参加した専門家4人の算術平均の由)。

 同記事を読んで、自分なりに、改めてこの問題を考えてみた。私の推測は、次のようなものである。

 まず、大前提として、北朝鮮は、第8回党大会で、戦術核兵器の開発を決定している以上、次期大会(おそらく5年後の2026年に開催)までには、それに使用できる小型核弾頭の開発完了を確認・誇示するための核実験を実施する可能性が非常に高い。それを一応、80%と考える。

 この数字は、北朝鮮が核実験を実施しない状況として、①実際には有効な小型核弾頭が開発できない場合、②対米・対韓関係が顕著に改善し核抑止力誇示の必要が大幅に減少した場合(現状では、ほとんど考えにくい)、③逆に北朝鮮にとっての国際環境が非常に厳しくなった場合(米中関係が一定程度改善し、国連安保理での中国の庇護が期待できなくなった場合など)、④北朝鮮の国内状況の混乱(例えば、再度のコロナ蔓延、深刻な食糧難発生、金正恩の健康問題など)により核実験の決断ができない場合などが想定されるところ、それらの可能性をまとめて約20%とみなし(大雑把に過ぎるかもしれないが)、算出したものである。

 そうした大前提に立つと、その80%が今後2年半余り(約32か月)の間に実現されることになるので、単純平均で毎月の平均確率は、約2.5%ということになる。今年をあと8か月とすると、年内の実施確率は、8×2.5%=20%であり、来年末までは、20×2.5%=50%となる。更に、2025年中に行われる確率が12×2.5%=30%なので、現在から25年末までの確率は、あわせて80%ということになる。

 この推算の妥当性の最大のポイントは、除外理由の発生可能性を20%とすることの可否にあると思うので、その内訳を改めて検討してみると、①は5%、②は1%、③は5%強、④は5~10%くらいと見ることができるのではないだろうか。

 ただ、正直にいうと、現在の対米・対韓非難の様相などからの直感的印象としては、年内の可能性がもう少し高いようにも感じる。北朝鮮指導部が③、④などの状況発生を懸念して、やれるうちにやってしまおうということで決断を前倒しすることもあるのではないだろうか。25年末までに80%の結論は変わらないにしても、年内を30%、来年末までを60%くらいに修正すべきかもしれない。

 ソウル大の推測に比べると相当高いものになってしまうが、果たして結果はどうなるか、神のみぞしると言わざるを得ないのかもしれない。